全国水平社創立100周年記念講演会 記録集

全国水平社創立100周年記念講演会 記録集

部落問題とその解決を考える
全国水平社創立100周年記念講演会 記録集

(2022年8月発行)

発行 大阪歴史教育者協議会
   大阪はぐるま研究会
   大阪教育文化センター「部落問題解決と教育」研究会

【おもな内容】

2022年4月10日におこなった記念講演会の記録集です。

講演1 「日本近代史のなかの部落問題とその解決について」
    広川禎秀さん(大阪市立大学名誉教授・部落問題研究所理事)
講演2 「(現状)部落問題とその解決を考える」
    谷口正暁さん(民主主義と人権を守る府民連合執行委員長)

質疑討論、各講演のレジュメ、参考文献

【頒価500円】(送料別・8冊まで140円)

申込みは大阪教育文化センターまで
℡ 06-6768-5773
kyoubun☆minos.ocn.ne.jp  ☆は@に替えてください。

第46回 大阪はぐるま研究集会(7月30日)

第46回 大阪はぐるま研究集会 ご案内

主催 大阪はぐるま研究会

子どもの心を育む教育と授業づくりをめざして

 この案内のダウンロードはこちら(PDF)

1.期日 2022年7月30日(土)

2.会場 玉水記念館玉水記念館地図
大阪市西区江戸堀1丁目10-31
最寄り駅:地下鉄四ツ橋線「肥後橋」8番出口 西へ1分
京阪中之島線「渡辺橋」12番出口 南へ7分

3.日程

9:00 受付
9:20 全体会【午前の部】(詩の朗読、作品研究①、作品研究②、特別報告)
12:30 昼食休憩
13:30 全体会【午後の部】(作品研究③・特別講演・記念講演)~17:00

午前の部 (9:20~12:30)

1.開会あいさつ
2.詩の朗読
3.作品研究① 『スーホの白い馬』(低学年)
4.作品研究② 『世界一美しいぼくの村』(中学年)
5.特別報告

「GIGAスクール構想―対抗軸をどう打ち立てるか―」
大阪教育文化センター    山口 隆 さん

午後の部 (13:30~17:00)

1.作品研究③ 『たずねびと』(高学年)

2.特別講演

 「自分を知り、他者と生きる(働く)」
和歌山大学名誉教授(元学長) 山本 健慈 さん

──  山本健慈さん プロフィール ──
1948年山口県生まれ。和歌山大学長や国立大学協会専務理事を勤め、現在、学校法人大阪観光大学(大阪府熊取町)の理事長。幼い時に同級生の貧困を目にした。「理不尽な社会を教育で変えたい」と決意して教育学者に。和歌山大学学長時は特別秘密保護法などを懸念し、卒業式で「自由の抑圧に抗してほしい」と呼びかけた。他の国立大学に声をかけ、国からの運営費交付金の減額への危機感を訴える会見を開くなど「物言う学長」として知られた。熊取町の無認可保育所の法人化や図書館の設立・運営にも関わってきた。

3.  記念講演

 「紛争地から見た憲法9条 -ウクライナとアフガンの現場から-」
フリージャーナリスト 西谷 文和 さん

──  西谷文和さん プロフィール ──
1960年生まれ。京都府出身。立命館大学理工学部中退。大阪市立大学経済学部卒業。吹田市役所勤務を経て、現在フリージャーナリストで、NGOイラクの子どもを救う会代表。主にイラク、アフガニスタン、シリア、南スーダンなど中東・アフリカ地域を取材し、テレビや新聞などで現地情報を伝える。2006年度「平和協同ジャーナリスト大賞」を受賞。

3.閉会あいさつ

作品研究 〔 〕は担当サークル

物語文
【スーホの白い馬】(大塚勇三 作)(光村図書2年)

「この教材は光村図書に昭和40年から50年余り掲載され続けています。最近はモンゴル出身の研究者から雑誌や新聞、新書版でいろいろと問題点が指摘されています。授業化に当たっては、それらも参考にして、一つの文学作品として読み、教材研究をしていきたい。[箕面はぐるま研究会]

【世界一美しいぼくの村】(小林豊 作)(東京書籍4年)

アフガニスタンの村パグマンに住む少年ヤモの一日を取り上げ、日々の生活が戦 争により破壊される悲惨さを感じさせる物語です。最後の一文で物語が大きく展開し、読み手に強い印象を与える。ヤモの家族や村に対する思いを読み、最後の一文について考えたい。[泉南はぐるま研究会]

【たずねびと】(朽木祥 作)(光村図書5年)
たずねびとは、駅の構内のポスターで見つけた同姓同名の「楠木アヤ」さんをたずねていく物語です。広島の平和記念資料館や原爆供養塔などを訪れ変わっていく綾の心情を読み取り、そこから生きていることや平和であることの意義を考えていきたいと思います。[羽曳野はぐるま研究会]

地域サークル

箕面はぐるま研究会
羽曳野はぐるま研究会
和泉どの子も伸びるサークルたんぽぽ
泉南はぐるま研究会
人権と社会科研究サークル

参加申込みについて

1.参加費 2000円(学生は1000円)
2.申し込み当日参加の方、本部受付でお願い致します。

なお、従来通りハガキ・Fax・E-mail・電話等での参加申し込みも受け付けます。その場合も本部で受付をお願い致します。

事前申し込みの際は、
①氏名 ②郵便番号、自宅住所・電話番号 ③勤務先 ④参加希望分科会をご記入ください。
⑤締め切り 7月25日(日)

3.申し込み・問い合わせ先

〒 590-0423 泉南郡熊取町自由が丘2-15-13  辻まち子

E-Mail machiko-tsuji◎ares.eonet.ne.jp  ←◎は@に変えて下さい。
Tel&Fax  072-453-5214

4.緊急事態宣言が出されている場合は、中止とさせていただきます。

-----◇-----

☆作品研究
参加者全員で話し合い、考え合い、学び合い、その教材について読みを深めていく集団研究の場です。担当サークル・担当者が話題・問題提供いたします。

☆特別報告
今年も山口 隆さんに報告をしていただきます。子どもたち、私たちをとりまく教育政策は、どんな状況にあるのか、その特徴と私たちの課題を明らかにしていただきます。

日本国憲法 第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

「教え子を戦場に送らない」この思いつよくつよく、わたしたちは平和憲法を守ります。

大阪はぐるま研究会

『続・学びなおしの部落問題』を発行しました

『続・学びなおしの部落問題』-「部落問題学習」の押しつけで新しい差別を生むことのないように-

『学びなおしの部落問題』刊行から3年。その後、法務省の「依命通知」や「部落続・学びなおしの部落問題差別の実態に係る調査結果報告書」(いわゆる6条調査報告書)などがだされましたが、同書で提起したことを裏付けるものとなっています。新学習指導要領にもとづく中学校、高校の新教科書の検定、採択など、前著刊行後の動きをもりこみました。

(『続・学びなおしの部落問題』は書店では扱っていません。直接、大阪教育文化センターに注文してください。)

頒価500円  2022.3.3.発行  A5版/並製/92ページ

内容

1 教育で新しい差別を生むことのないように

2 中学校社会科「歴史」「公民」教科書(2021年度から使用)の検討

3 高校「歴史総合」教科書(2022年度から使用)の検討

4 高校「公共」教科書(2022年度から使用)の検討

5 資料

(1) NHK大阪放送局の度重なる偏向報道―『バリバラ』にふれて(民権連)

(2) 民権連通信号外2021年6月府教育庁交渉

(3) 大阪府人権局「旧同和対策事業対象地域の課題について」(抜粋概要)

(4) 法務省「インターネット上の同和地区に関する識別情報の摘示事案の立
件及び処理について(依命通知)」2018年12月27日(抜粋)

(5) 法務省「部落差別の実態に係る調査結果報告書」2020年6月(6条調
査報告書)(抜粋)

(6) 部落差別の解消の推進に関する法律および附帯決議

 

 

大阪はぐるま研究会新春学習会(2月20日)

はぐるま研新春学習会

2022はぐるま研新春QRコード 『黒い蝶』 松谷みよ子作(文学読本「はぐるま」8巻 1973年)(B4版pdf)

 大阪はぐるま研究会新春学習会への参加申し込みはこちら(Googleフォーム)

スマホ・タブレットならQRコードで

(サテライト会場-泉南方面-での視聴・参加を希望される場合もGoogleフォームから連絡ください。)

全国水平社創立100周年記念講演会(4月10日)

ただいま『記録集』を作成中です。

全国水平社創立100周年記念講演会へのご参加ありがとうございました。(写真は「しんぶん赤旗」2022.4.12.)

全国水平社創立100周年記念講演会写真

全国水平社創立100周年記念講演会  案内チラシ(カラーPDF)

全国水平社創立100周年記念講演会
部落問題と その解決を考える

○日時 2022年4月10日(日)午後1時30分~4時30分

○会場 たかつガーデン(大阪府教育会館) 近鉄「上本町」、地下鉄「谷町9丁目」

■講演1(歴史)講師 広川禎秀さん(大阪市立大学名誉教授・部落問題研究所理事)

■講演2(現状)講師 谷口正暁さん(民主主義と人権を守る府民連合 執行委員長)

○参加費 500円

○主催 大阪教育文化センター「部落問題解決と教育」研究会
    大阪歴史教育者協議会
    大阪はぐるま研究会
○後援 大阪歴史科学協議会

○マスク着用、参加者の連絡先確認など感染対策にご協力ください。
 感染拡大など状況による変更があれば「部落問題解決と教育」研究会HP(人権教育事典)や 大阪歴史教育者協議会HPでお知らせします。

□連絡先 大阪教育文化センター TEL 06-6768-5773
 メール mail@jinken-kyoiku.org

参考
「部落問題解決と教育」研究会HP(人権教育事典)
https://jinken-kyoiku.org/

大阪歴史教育者協議会HP
https://osaka-rekkyo.org/

 

第46回 大阪はぐるま研究集会(8月7日)

第46回 大阪はぐるま研究集会 ご案内

主催 大阪はぐるま研究会

子どもの心を育む教育と授業づくりをめざして

 この案内のダウンロードはこちら(PDF)

1.期日 2021年8月7日(土)

2.会場アネックスパル法円坂(大阪市立教育会館)
地下鉄「谷町四丁目」・JR「森ノ宮」徒歩6分

3.日程

9:30 受付
9:50 分科会(5分科会)
12:30 昼食休憩
13:30 全体会(詩の朗読・特別報告・記念講演)~17:00

全体会(午後1:30~5:00)

1.詩の朗読
2.サークル紹介
3.特別報告

「コロナ禍で浮き彫りになった教師の課題」
 -対抗軸をどう打ち立てるか-
  大阪教育文化センター 事務局次長 山口 隆さん

4.記念講演

 「一冊の本ができるまで」
  -「『パンプキン!』模擬原爆の夏」から-
            児童文学作家 令丈ヒロ子さん

令丈ヒロ子さん プロフィール
 1964年大阪生まれ。嵯峨美術大学客員教授。成安造形大学客員教授。1990年に『ぽよよんのみ』でデビュー。代表作『若おかみは小学生』シリーズは累計300万部のベストセラーに、『料理少年Kタロー』は2度テレビドラマ化された。『パンプキン!模擬原爆の夏』他多数。

分科会  〔 〕は担当サークル 

8月7日(土)午前9:50~12:30
物語文
【お手紙】(アーノルド・ロベール 作)
    (教育出版1年・光村図書2年・東京書籍2年)

 一度も手紙をもらったことのないがま君の悲しみを知り、自分のこととして受け止め、がま君と一緒になって悲しむかえる君。がまくんを喜ばせるために、ないしょでお手紙を書いて、かたつむり君に託すが、足の遅いかたつむり君に託したために、なかなか手紙がとどかない。しかし、かえる君の行為を知ったがま君は、とても幸せな気持ちになる。そして、かえる君も同時に幸せを感じる。相手とともに喜び、ともに悲しむ登場人物の心情を読んでいきます。
[泉南はぐるま研究会]

【ごんぎつね】(新美南吉 作)
  (教育出版4年・光村図書4年・東京書籍4年・学校図書4年)

 『ごんぎつね』は、小ぎつねごんの人物像や気持ちの変化がきめ細かく書かれていますいたずらばかりのごんがつぐないをする中で、どんどん兵十に気持ちを寄せていきます。悲しい結末に終わってしまう物語ですが、ごんの心情を丁寧に読み合いたいです。

[羽曳野はぐるま研究会]

【やまなし】(宮沢賢治 作)(光村図書6年)

『やまなし』は難解な教材です。難解だからおもしろい、とも言えます。言葉や文をもとに、読み手が感じたこと、思ったことを語り合うことで、読みを深めていきたいです。宮沢賢治の初期稿では、〈五月〉と〈十一月〉でした。このことも読み深めに活かします。

[箕面はぐるま研究会]

人権と社会科

-教育で新しい差別を生むことのないように-

 新しい差別を生む「部落問題学習」。
 学校では、理由があるとなかろうと人間を差別してはいけないということをあらゆる場面を通して子ども自身のものにすることが基本です。部落問題の解決はシンプル。同じ日本人として普通につきあうこと。先祖が何とか、どこの出身とか、気にしない人間関係が当たり前。先祖や特定の地域に関心を育てる教育は新しい差別を生む。
 「部落」なんてありません。行政の調査結果に学びましょう。

            [柏木 功・人権と社会科研究サークル]

生活綴方と学級づくり

 『子どもの声を聴く』

 一人ひとりの子どもを大切にしたい。コロナ禍の今、子どもたちが何を思い、何に心寄せているのか。子どものつぶやきや日記、作文から一人ひとりの子どもの声を聴きたいです。

[泉南はぐるま研究会]

記念講演内容

 「模擬原爆」に出会ったところから、「パンプキン!」を書くに至った経緯、書いてからどんな反響があったか、文庫化の際にどう手入れを入れたか、をメインにします。古典のほうは特に資料はないのですが、曽根崎心中愛好者たちと、心中ルートを歩くツアーに参加したり、近松など関係者のお墓参りに行ったことなど、「曽根崎心中」にまつわる話もお話していただきます。

地域サークル

 箕面はぐるま研究会
 羽曳野はぐるま研究会
 和泉どの子も伸びるサークルたんぽぽ
 泉南はぐるま研究会
 人権と社会科研究サークル

参加申込みについて

1.参加費 2000円(学生は1000円)
2.申し込み当日参加の方、本部受付でお願い致します。

   なお、従来通りハガキ・Fax・E-mail・電話等での参加申し込みも受け付けます。その場合も本部で受付をお願い致します。

事前申し込みの際は、
 ①氏名 ②郵便番号、自宅住所・電話番号 ③勤務先 ④参加希望分科会をご記入ください。
 ⑤締め切り 7月25日(日)

3.申し込み・問い合わせ先

〒 590-0423 泉南郡熊取町自由が丘2-15-13  辻まち子

E-Mail machiko-tsuji◎ares.eonet.ne.jp  ←◎は@に変えて下さい。
       Tel&Fax  072-453-5214

4.緊急事態宣言が出されている場合は、中止とさせていただきます。

-----◇-----

☆分科会
 参加者全員で話し合い、考え合い、学び合い、その教材について読みを深めていく集団研究の場です。担当サークル・担当者が話題・問題提供いたします。

☆特別報告
 今年も山口隆さんに報告をしていただきます。昨年来のコロナ禍で大きな影響を受けた教育現場。急速に進行したオンラインの授業化によって、教育とは何か、学校のあり方、教師の役割等を根本から問い直される事態になっています。私たち教師の課題、進むべき道筋について示唆をいただきます。

日本国憲法 第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

「教え子を戦場に送らない」この思いつよくつよく、わたしたちは平和憲法を守ります。

大阪はぐるま研究会

八鹿高校教職員の側に非難さるべき落度は認められない(民事訴訟判決)

原告ら(八鹿高校教職員)の側に非難さるべき落度は認められない

 八鹿高校事件は、解同の拉致、13時間に及ぶ暴行により、教職員56人が重軽傷うち29人が入院治療を受けた事件。県や県教委、校長、警察など加担のもとに起こった事件であった。

「八鹿高校事件とは 国会で明らかに」はこちら

 八鹿高校教職員61名は、兵庫県と県教委職員ら、警察署長および解同幹部2名を被告としての損害賠償裁判で、総額1億400万円の慰謝料を請求した。

 1982年3月、裁判所の和解勧告により、兵庫県は5700万円余りを支払うという和解が成立した。この和解には、さらに、兵庫県の同和行政、同和教育について、当時の解同との連帯、密約の誤りとその後それを手直ししたことを明らかにするため、双方代理人の問で覚え書きを作成するという項目もあった。

 この和解勧告を拒否した解同幹部に対する判決は合計3000万円の慰謝料の支払いを命じた。

 大阪高裁1992.7.24、最高裁判決1996.2.8.で確定。(以下は神戸地裁判決の抜粋)

神戸地方裁判所豊岡支部 1990.3.28.

一、主文

 被告らは連帯して、原告らに対し、損害賠償として合計約三〇〇〇万円と、事件後(約一五年)の年五分の遅延利息を支払え。

二、理由

1、いわゆる八鹿高校事件(暴行、傷害、監禁、強要など)は、その動機、態様、結果いずれをみても、現行法秩序の到底許容し得ない違法行為である。

2、被告両名は共に、右事件を惹き起こした最高指導者としての民事責任を免れない。

3、右事件の発生につき、原告ら(八鹿高校教職員)の側に非難さるべき落度は認められない。

(判決の一部抜粋)

六 被告らの仮定抗弁に対する判断

1 正当行為

(一) 被告らは、解放同盟員らによる本件行為は原告ら八鹿高校教職員の差別行為に対する糾弾であるとし、被差別部落民には糾弾権があること、八鹿高校の同和教育は差別教育であったこと、また、原告らがあくまで解放研を承認せず、解放研生徒との話合いを拒否して集団下校したことは、被差別部落民に対する差別行為であったから、本件程度の糾弾は正当行為として容認される筈である旨主張する。 しかし、被告ら主張の糾弾権なるものは実定法上何ら根拠のないものであるばかりか、八鹿高校の同和教育についても、その概要は前認定(二の3の項)のとおりであり、これによれば同校の同和教育は、本件当時、高等学校の教育課程としてみれば、一応の取組みができていたものと評価することができ、少なくとも部落差別を温存助長するような差別教育でなかったことは明らかである。

 以下、前認定の事実関係に基づいて判断する。

(二) 解放研の不承認について

 解放研は、連合解放研の規約及び闘争方針からも明らかなように、教師は「社会観念にまでなっている差別観念に毒されきって」おり、また「必死に同和教育に取り組んで」いないため、その行う同和教育も、結局、部落の生徒を苦しめているだけにすぎず、単に部落差別を温存助長する結果となっているとし、このような教師の人間性、同和教育に対する姿勢を正し、真の解放教育を確立するため、教師に対する確認会、糾弾会を実施することを目的の一つに掲げ、具体的な闘いを進める時は、常に解放同盟と連帯し、その指導を受けることが義務づけられている。

 したがって、解放研は、学校内の機構上はクラブ又は同好会の一つとして位置づけざるをえないものの、活動面では教師の差別性を論じ、教師を糾弾の対象にすることを目的とするものであるから、人間的な触れ合いと全人格的な結びつきを基盤として、教える者と教えられる者との間に良好な教育的秩序の維持が必要な学校教育において、その全てを根底から破壊しかねない重大な危険性を帯有しているのみならず、指導面でも、教師の指導を排除して、教育現場において関係者の総学習、総点検の実施を要求する解放同盟の指導を至上のものとしており、運動体的色彩の濃い生徒の集団であって、本来教師の指導、助言の下に学習活動をなすべきクラブ又は同好会とは全く異質のものであった。和田山商業高等学校や朝来中学校の例をみても、解放研生徒は、およそ差別事象とは認め難い教師の些細な言動を取り上げ一方的に差別行為と断定し、教師の差別性を追及すると称して確認、糾弾会に持ち込んだうえ、解放同盟の指導、支援を受けながら、教師を罵倒して吊し上げ無条件の屈服を迫っているのであって、解放研が学校教育における正常な教育的秩序と根本的に相容れない性格を持っていたことは明らかであった。

 一方、解放同盟中央本部は、職場、学園に解放研を組織することを昭和四九年度の運動方針に掲げ、これを受けるかのように南但馬でも六月二二、二三日の一泊研修会から九月八日の連合解放研結成の前後にかけて、殆んどの高等学校に解放研が作られた。八鹿高校の解放研も、その設立に至る過程において被告丸尾ら解放同盟側の強力なてこ入れがあり、また当時同和教育は解放同盟と連帯して推進していくことを標榜していた県教委の強い指導もあったため、珍坂校長も止むなく同好会設立に関する規約や手続を無視し、職員会議の反対を押し切って設立を承認したもので、他の同好会には許されない部室まで与えられるなど別格の扱いを受け、他の生徒達から抗議の声が挙がるほどであった。

 このような解放研の性格と実態を冷静かつ客観的に考察すれば、真剣に学校教育のあり方を考える者であれば誰しも、学校内での解放研を承認することには消極的にならざるをえない筈であり、したがって、原告ら八鹿高校の教職員が何度も職員会議を開いて慎重に検討を重ねつつ、終始一貫して解放研の設立に反対し、校長が設置に踏み切った後も不承認の態度を変えようとしなかったことには十分に理解できるものがあり、これをもって差別行為と非難される理由はないというべきである。

(三) 解放研生徒との話合い拒否について

 八鹿高校の解放研の生徒たちは、一一月一八日三項目の要求を掲げて座込みに入った。その要求の内容は「(一)八鹿高校解放研の顧問をさらに三名つけること(但し、人選は解放研の希望を受け入れること)、(二)八鹿高校解放研と先生との話合いを持つこと(但し、連合解放研並びに解放同盟の各役員を含むこと)、(三)現在、八鹿高校の同和教育は部落の解放と全ての生徒の幸せにつながっていないことを認めること」というものであり、第一、二項目では、教師側が八鹿高校の解放研を承認することを前提にし、話合いには連合解放研と解放同盟の役員が同席することを条件とするものであった。しかし、原告ら八鹿高校の教職員は、解放研が解放同盟の下部組織ともいうべき性格と実態を持ち、他校の解放研の例からも学校教育とは相容れないものとの判断から、終始その設立に反対する姿勢を貫いていたのであるから、原告らに解放研の承認を前提とする話合いを期待することにはそもそも無理があったばかりか、解放研生徒が要求する「先生との話合い」も、連合解放研や解放同盟の役員の同席を条件とするものであって、このような話合いが、教育的営為としてなされる通常の先生と生徒との話合いとは全く異質のもので、教師を糾弾の対象とし、そのまま確認会、糾弾会に発展しかねない内実のものであったことは、他校の実例からも明らかであった。 解放同盟という運動団体の指導と支援を背景に教師を糾弾の対象としか考えない解放研生徒に対しては、自校の教師といえども、もはや教育的営為を行うことは極めて困難な状態に立ち至っていたのである。第三項目にしても、これを認めることは、地道で多面的かつ積極的な活動を展開してきた八鹿高校の過去の同和教育及びその成果を全て否定し去ることにつながるものであり、原告らが容易に応じるとは到底考えられないものであった。

 右の諸事実に、本件当日までの事態の進展(解放研生徒は要求貫徹を図るためハンガーストライキに突入し、これを外部から支援する解放同盟の動きは一層激しさを増していたことなど)を併せて考えると、原告ら八鹿高校教職員が、解放研生徒の求める「話合い」に教育的価値を認めず、かえって場合によっては確認会、糾弾会に持ち込まれ、八鹿高校の教育の自主性、主体性を損いかねない最悪の事態になることを懸念して、これを拒否したことにはそれなりの理由があり、原告らのこのような対応を差別行為として非難することはできないというべきである。

(四) 原告らの集団下校について

 原告らは、八鹿高校事件発生の当日(二二日)、登校後直ちに集団下校した。これは、諸般の状況から、原告ら八鹿高校教職員に対する解放同盟の糾弾が誰の目から見ても当日必至の情勢であり、ひと度解放同盟の糾弾を許せば、原告らの身体の安全はもとより八鹿高校の教育の自主性、主体性も損われ、八鹿高校は以後、解放同盟に指示されるまま教育を進めていかざるを得なくなると原告らが判断し、そのような事態だけは何としても回避しようとしたためである。原告らの右判断があながち荒唐無稽でなかったことは、本件当日の八鹿高校を取りまく周囲の異様な状況に加えて、南但馬における解放同盟の動向や南但支連協の運動方針(糾弾闘争に関する項参照)、それに何よりも本件当日、被告らに指導された多数の解放同盟員らが原告らに対し執拗かつ凄惨な集団暴行を加え、暴力をもって原告らを無条件に屈服させたうえ、「今後は解放同盟と連帯して部落解放のために闘う。」などの自己批判書を書かさせていることからも明らかである。

 したがって、緊急事態に直面した原告らが、自らの身体の安全と八鹿高校の教育の自主性、主体性を守るため、非常手段として集団下校したことには無理からぬものがあり、むしろ緊急避難であったということができる。なるほどハンガーストライキをしている解放研生徒をそのまま校内に放置して集団下校したことには、「自校の生徒の立場を思いやるという教育的配慮に乏しく、教育者として適切さを欠く点があった」とか、「いかにも早急で思いきった態度であり、現にハンガーストライキをしている生徒やその父兄の心情を含め同校全体の教育的見地への配慮を十分かつ慎重に行ったうえのものであるかどうかについても大いに問題となる」旨の指摘も一応できなくはないであろうが、前述の解放研の性格と実態、解放研生徒の要求する「話合い」の内実等を仔細に検討すれば、右の指摘が果して正鵠を射たものかどうか疑問なしとしないのである。

(五) 以上のとおりであり、被告らが主張する原告らの差別行為なるものには、そもそも差別性を見出すことができないのみならず、被告らの本件行為は、その動機、態様、結果のいずれをみても現行法秩序の到底許容し得ないものであるから、正当行為の主張は理由がなく、採用できない。

2 過失相殺

 被告らは、本件の発生には、原告ら八鹿高校教職員が解放研をあくまで承認せず、解放研生徒との話合いを拒否して、ハンガーストライキをしている解放研生徒をそのまま校内に放置して集団下校するという、教育者として適切さを欠いた行為にも原因があり、責任の一端は原告らにもあるから、過失相殺すべきであると主張する。

 しかし、これに対する当裁判所の判断は既に説示したとおりであり、原告らのとった措置はいずれも無理からぬもので、そこに落度はなく、教育者として適切さを欠いたとの非難は当を得たものではない。

 被告らの過失相殺の主張も採用できない。

七 損害額

1 慰謝料の算定

 本件は、解放研をあくまで承認せず解放研生徒との話合いを拒否する原告ら八鹿高校教職員に対し、被告両名に指導された南但馬の解放同盟が、共闘会議に名を籍りて差別者の汚名を着せ、徹底した私的制裁を加えて解放同盟に対する無条件の屈服を迫った事案であり、その態様は、白昼公道で原告らに襲いかかり集団暴行を加えて校内に連れ戻したうえ長時間にわたって校内各所に監禁し、その間執拗かつ凄惨な暴行、脅迫、傷害を加えた挙句、原告らにその意思に反して自己批判書を書かせたというものであって、本件不法行為は動機、態様、結果等のいずれをみても極めて悪質といわざるをえない。

 したがって、慰謝料の算定にあたっては、右の本件事案の特殊性を基本に据えたうえ、原告らには、非難さるべき落度はないこと、被告らは、本件発生後今日に至るまで、原告らに対し何ら慰謝の方法を講じていないこと等をも斟酌しつつ、各原告毎に暴行脅迫の態様、傷害の有無、程度、入通院の期間、後遺症の有無、程度、監禁されたかどうか、その時間、自己批判書等の作成(強要)の有無の各項目を個別に検討し、その結果別表第八(慰謝料額算定一覧表)記載のとおり各慰謝料額を定めることが、原告らの精神的肉体的苦痛を慰謝するのに相当であると認めた。

 なお、同表記載の「加算金」は、本件不法行為の態様に照らし、個々の右各項目では賄うことのできないもの、例えば原告らが一様に味わったであろういい知れぬ屈辱感や暴力で屈服させられたことの無念さ、明日からの学校教育に対する不安、これらを増幅した本件不法行為の強度の不当性などを考慮し、補完的機能を持たせたものである。

「八鹿高校事件とは 国会で明らかに」はこちら

第45回大阪はぐるま研究集会

第45回大阪はぐるま研究集会 ご案内

主催 大阪はぐるま研究会

 案内のダウンロードはこちら(画像PDF B5版4ページ)

子どもの心を育む教室と授業づくりをめざして

1.期日 2019年8月3日(土)

2.会場  アネックスパル法円坂(大阪市立教育会館)

    地下鉄「谷町4丁目」西へ徒歩6分/JR「森ノ宮」東へ徒歩6分

3.日程
     9:00 受け付け
     9:15 分科会(9分科会)
    13:00 全体会(特別報告・記念講演)
    16:30 閉会

全体会 (午後1:00~4:30)

1.主催者あいさつ

2.特別報告 「子どもとともに未来を開こう」

 大阪教育文化センター 事務局長 山口隆さん

      「子どもの認識力を育て、深める授業の創造を!」

大阪はぐるま研究会 事務局長 辻まち子

3.記念講演 「子どものために手をつなぐ ~いま、親そして大人ができること」
    大阪大学大学院教授 小野田 正利さん

分科会   [ ]は担当サークル・担当者

8月3日(土) 午前9:15~12:00

■物語文

【だってだってのおばあさん】(佐野洋子作)(光村図書1年下)

 だってだってなどのくり返しの言葉を楽しんで読み、おばあさんとねこのやさしさによって、99歳から5歳になったおばあさんの生き生きした様子を楽しんで読み合いましょう。

[和泉どの子も伸びるサークルたんぽぽ]

【ニャーゴ】(宮西達也作)(東京書籍2年下)

 猫の怖さを知らず、無邪気に関わっていくこねずみの行動が、猫の気持ちを変えてしまう話の展開のおもしろさと、心が温かくなる結末を読み味わいましょう。

[和泉どの子も伸びるサ一クルたんぽぽ〕

【ちいちゃんのかげおくり】(あまんきみこ作)(光村図書3年下)

小学校で出会う、初めての戦争を扱った教材であるちいちゃんのかげおくり。戦争体験のない私たちがどのようにこの教材を子ども達と学んでいくのか、また、戦争によってちいちゃんが奪われたもの、また奪えなかったものから、戦争の悲惨さ、平和の尊さをじっくりと読み合いたいと思います。

[羽曳野はぐるま研究会]

【一つの花】(今西祐行 作)(光村図書・東京書籍・教育出版・三省堂4年上)

<一つの花>にはどんな思いが込められているのだろう。この教材では、読者が作中のある人物と一体になって体験するよりは、話者の語りにのって意味づけていくことを大切に読み合っていきたいと思います。

[泉南はぐるま研究会]

【注文の多い料理店】(宮沢賢治 作)(東京書籍5年下・学校図書5年上)

 二人の紳士が、次々と出される注文にどのように対応するのか考えたいと思います。参加される方と一緒に教材分析をして、この教材で、子どもたちに何を考えさせたいのか話し合いたいと思います。

[泉南はぐるま研究会]

■物語文

【海の命】(立松和平 作)(光村図書6年、東京書籍<海のいのち>6年下)

 光村の18段落は“母が毎日見ている海は、いつしか太一にとっては自由な世界になっていた”と書かれています。この一文が当初にはありません。この一文も含めて、子どもの気づき体制にする授業をすすめるために、ていねいに教材分析をしていきましょう。

[箕面はぐるま研究会]

■道徳と英語

「道徳」をどのように授業していますか。
「英語」の授業をどうしていますか。

[コーディネーター 山口隆さん]

■人権と社会科

学びなおしの部落問題
-「差別はいまもある」で終わる教育は時代おくれ、未来を開く教育を-

 社会で部落差別を目の前で見たり聞いたりすることはあるでしょうか。「今も差別はある」と語り継ぐことは、誤解と偏見を育てないでしょうか。あらためて教科書や研修で教えられてきた内容の偏向を訂正し、未来を開く教育へ転換するために、部落問題をそもそもから学びなおしましょう。
[柏木功][人権と社会科研究サークル]

■生活綴方と学級づくり

 子どもに生きる希望、先生に元気、親に安心を!学級づくりの原点を学ぶ場に
[土佐いく子]

参加申し込みについて

1.参加費 3000円(学生は2000円)

2.申し込み 「郵便振替での参加申し込み」をお願いします。分科会会場での参加費の扱いは極力避けるため、また資料の確保のためにも、「事前に納入」していただきますようお願いいたします。
 その場合、通信欄に参加希望分科会等必要事項をご記入ください。入金を確認次第、自宅住所に「参加票」をお送りします。

振込先口座番号 00960-3-211341
   加入者名  大阪はぐるま研究会
   金額     3000円

なお、従来通りハガキ・Fax・E-mail・電話等での参加申し込みも受け付けます。その場合は本部控え室で受け付けいたします。
 また、当日参加の方も、本部で受け付けをお願いいたします。

 申し込みの際は、
  ①氏名
  ②郵便番号、自宅住所、電話番号
  ③勤務先
  ④参加希望分科会(第1希望、第2希望)をご記入ください。

3.締め切り 7月20日(土)

4.申込先・問い合わせ先

 〒590-0423 泉南郡熊取町自由が丘2-15-13 辻まち子

E-mail machiko-tsuji@ares.eonet.ne.jp

Tel&Fax 072-453-5214

☆分科会

 参加者全員で話し合い、考え合い、学び合い、その教材について読みを深めていく集団研究の場です。担当サークル・担当者が話題・問題提供いたします。

☆特別報告  今年も山口隆さんに話していただきます。

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日本国憲法 第二章 戦争の放棄

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

「教え子を戦場に送らない」この思いつよくつよく、わたしたちは平和憲法を守ります。

大阪はぐるま研究会

子どもがつくった子どもの権利条約ポスター(中学校美術)

子ども自身が権利を知り、主張することができるようになるために

 子どもの権利条約ポスター制作

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1 学校・学年の様子

 本中学校は2015年に2校が統合、校舎を新調し開校した学校である。開校から3年が過ぎ、いくつかの大きな生徒指導課題や、学力課題もあるものの、全体としては日常的に概ね落ち着いた学校生活が送れている。美術の授業においても、指導者の説明を聞き、指導に沿った活動ができており、少々難易度の高い教材でも取り組むことができている。

 本教材に取り組んだのは第2学年4学級。支援を要する生徒が少なからずいる学年だが、それらの生徒も含め取り組んだ。

2 教材について

 2010年くらいの事だろうか、美術関係の業者さんから、子どもの権利条約を題材に作品を作っている美術教師がいると聞いたことがある。その業者曰く、そんな教材をすると、子供がわがままを言うようになるから、迷惑だと言っていたことを憶えている。その時は、「そんなもんかなぁ。」「(美術的に)その題材で作品を作らせるって面白いんかなぁ」と思っていた。そんな自分が昨年(2017年)からこの教材に取り組んでいる。大阪の中学生は全国学テはもちろん、大阪府チャレンジテストもあり、特に3年生は毎月何らかのテストがある、多い時は1月に3回ある時もある。クラブだ、テストだと追い立てられ、自分らしい生活がどれ位できているのだろうかとかわいそうになってくる。そんな自分もそうさせている内の一人なのだがと内心思いつつ。

 子ども自身が自分には権利があり、その権利を行使することは許されているのだと知ってほしい。そして、このポスターを展示し、多くの大人に見てもらうことで、少しでも子どもの置かれている状況について考えるきっかけになってくれればと思い実践している。

3 制作の流れ(全9時間)

【1年生3学期末(2時間)】

 ① You tube「子どもの権利」動画(16分37秒)を視聴。世界には劣悪な環境で生活している子ども達がいることを知らせる。そんな子どもたちの強い味方として「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」があることを説明。動画で紹介した世界と同様には考えられないが、君たちの置かれている状況はどうだろうかと考えさせる。

 ② Unicefがまとめている子どもの権利条約のサイトをもとに、条約の成り立ち、全条文が載った冊子を配布し、読み合わせをする。

 ③ 読み合わせながら、自分にとってすごく大切だと思う条文、または自分や自分の身の回りで守られていないと思う条文を選ばせ、選んだ理由を作文させる。

 ④ PC室で、選んだ条文からイメージする風景、人、物を描くうえで参考になる写真やイラストを検索させ、印刷する。

 ⑤ 参考資料を基に、アイディアスケッチを描かせる。

 ⑥ レタリングの時に学んだスペーシングを復習し、「子どもの権利条約」「第○条」「条文」を文字の大きさ配置のバランスを考えて、絵とともにどう入れるか考えさせる。

 * ここまでができていない人は春休みの宿題としておく。

【2年生1学期(7時間)】

⑦ 画用紙を配布し、下絵をもとに描かせ、ポスターカラー絵の具で彩色する。

4 制作中の生徒の様子

 条文を選んだ段階ですぐにイメージが湧いている生徒もいれば、みんなが画用紙に描き始めてもなかなか描き出せない生徒もいる。このポスターを作ることそのものに意味があるからと、デザインについては条約説明の冊子の挿絵を参考にしても良いなどとハードルを下げ、制作を促す。

 ポスターカラー絵の具の彩色は水分をわざと多く含ませ、筆跡を残すことで、その条文のイメージ合うような彩色の方法を紹介し、わざと「ムラ」を作ることが効果的だと促すなど、新しい技法を盛り込ませた。

5 まとめ

 身近な「いじめ」をテーマにしたり、先生への不満を裏のテーマとして盛り込むなど、それぞれの思いのこもった作品が多く完成できた。ネットで検索した画像であっても、複数組み合わせる、部分的に変化を加えるなど自分なりの工夫をしている生徒も多くいたこと。彩色において、にじみやムラをテーマに合った表現として利用するなどの工夫も見られた。

 また、文章を書くにあたり、レタリングで習った字体を意識しながらも、自分なりの味のある文字を筆で書くことも効果的だとほめながら取り組んだことも手作りの良さが感じられる表現になっているのではないだろうか。難しい教材ではあったが、多くの生徒が意欲的に制作することができたと感じている。

「子どもの権利条約」授業記録(中学校)

「子どもの権利条約」授業記録

1.目標「権利」ってなに? -考えるきっかけにしよう。

2.導入「子どもの権利条約」紹介

  ①54項目例・虐待・放任からの保護
       ・意見表明の権利
  ②1989年11月20日国連総会
  ③194か国が批准 日本も
  ④審査を受ける。勧告されることがある。
    日本は勧告された。
  ⑤認知度が低い。
    2009年 広島の小中高生17%

3.展開

(1) クイズ
「次のAからDのケースで、『子どもの権利条約』に違反しているのはどれか。

 コンゴ民主共和国ベンジャミン君15歳誘拐された兵士にされた

 パキスタン1990年子どもサッカーボール工場労働させられていた。

 日本「親に育ててもらっているのだから、親の言うことを聞け。」と言われた。

 日本だらだらテレビを見たり、何もせずぼ一っとしたりしていたら、叱られた。

上記をグループで話し合う。
挙手で答えさせて正解を発表する。

(2) A~Dが条約違反になる根拠を、次の条文の中から選ばせる。グループで相談して用紙に答えを記入させる。(用紙あり)

  第6条 生きる権利・育つ権利
  第9条 親と引き離されない権利
  第12条 意見を表す権利
  第28条 教育を受ける権利
  第31条 休み、遊ぶ権利
  第32条 経済的搾取、有害な労働から保護される権利
  第35条 誘拐、売買から保護される権利
  第38条 戦争から保護される権利
  第40条 国は、罪を犯した子どもに、人間の大切さを学ばせ、社会に戻ったときに自分自身の役割を果たせるようになるよう、大切に扱わねばならない。

(3) 話し合った結果を発表させて、条文の内容を噛み砕いて説明する。

(4) 自分が「いやだと思ったこと(思っていること)」「やめてほしいと思ったこと(思っていること)」を書く。(用紙あり)

(5) グループの中で発表する人を1人決める。(発表したい人がいなければ、どの内容がいいかを1枚決める。発表は教師がする。)

(6) 順番に発表させて、短いコメントをする。

終末

(7) 振り返りをさせる。(はじめて知ったこと、驚いたこと、考えたことなど)

4.生徒の思い

お父さんに「親の言うことは聞け。」といわれる。「ケータイばっかりするな。」と、そんなにしていないのに言われる。「勉強したんか。」と、したのに言われる。ちゃんと見てから言ってほしい。

小学校の先生に、同じことを何度も聞かれたから小さい声で「またか~」と言ったら、妹と比べられ「がっかりやわ一」と言われた。あやまってほしい。

お母さんに、ケータイの使用時間を決められて、使用OKの時間にさわりすぎていると起こられる。テストの点が悪くておこられる。自分がケータイをさわっていて、「御風呂洗ってきて~」って言われて、「待って~」って言ったら、「ケータイばっかりさわってないで、ちょっとはお手伝いしたら」って言われる。使用時間OKのときは、さわっていてもおこらないでほしい。自分のことだけじゃなくて周りを見てほしい。自由にしたい。

親にいつまでも小さい子扱いされたり、ばかにされたりする。けんかや親の言っていることがおかしいと思ったとき、正論や事実を言ったら、話をしっかり聞いてくれず、親の権力的なものに潰される。友だちはみんなこうだと言ったら、みんなは関係ないなどと言われる。テレビを見ているときとか全てにおいて、親に全てを決められる。親が時代遅れ。黙ってほしい。

失敗したとき、お父さんに「~ちゃん、~君はできるのに、なんでお前はできないんだ。」と言われた。「~ちゃんの家は~なのに、あなたは幸せやね。」と言われた。やめてほしい。

弟がお菓子ばっかり食べていて、夕食をあまり食べなかったとき、お母さんにお菓子を投げつけられていて、家がいやな雰囲気になった。けっこう怖かったから、投げるより口でおこってほしい。

親や妹に、勉強やダンスのことで、友達と比べられる。比べないでほしい。

お母さんに、勉強やテストのことで、「お姉ちゃんはできたよ~。」と言われる。比べないでほしい。

ゲームをやっていると、妹がうるさい。しゃべらないでほしい。

ママに、習い事に無理やり入れられた。周りと比べられる。弟に対するときと態度が違う。対等に見てほしい。
ほめてほしい。話し合ってほしい。

お母さんの作つたご飯を食べるときに、「あんまりおいしくないよね。」と言われて、「どんな感じ?」と聞かれたので「まずい。」と言ったらおこられた。正直に言っているのに、おこるのはやめてほしい。

兄に、妹だからということで下に見られること。対等に見てほしい。

一番上のお兄ちゃんに真ん中のお兄ちゃんがいじめられていて、真ん中のお兄ちゃんが八つ当たりで、僕の両足首と両手首をタコ糸で縛ってくる。タコ糸は痛いので、やるならテープで。
親におこられたとき、「お前なんかいらない。」と言われた。やめてほしい。

給食時間、僕のパンを食べないでほしい。取らないでほしい。

休み時間、腹をさわらないでほしい。

お母さんが、いきなりおこる。八つ当たりする。意味もなくおこるのをやめてほしい。

勉強して休憩しているだけなのに、「勉強しろ」と強制させる。ほうっておいてほしい。

お母さんが、夕方5時~9時45分、10時~7時にけいたいを勝手に切って、開けられないようにしてくる。1日1時間は見られるようにしてほしい。

お姉ちゃんに、発表会が終わったときに「顔、真っ赤っか」とか「中2病」とか言われた。みんなの前で言うのはやめてほしい。

子どもの意見を尊重してほしい。

中学校の先生に、関係ないのに休み時間に呼び出される。

家で休んでいるときに、母と姉に、わたしがすることで文句を言われる。父に、テストの点数が悪かったらおこられ、たたかれた。ほうっておいてほしい。あんまりがみがみ言わないでほしい。手を出さないでほしい。

母親に「家を出て行け。」と言われた。子どもの気持ちを理解して発言してほしい。

おばあちゃんに、弟が悪いのに私が悪いことにされる。

父親の説教が長くて、寝る時間がない。短くしてほしい。母や妹が、全て僕が悪いようにしてくる。妹も叱ってほしい。

父親が話しかけてきた。そっとしておいてほしい。

お母さんに、勉強しようとしているのに「勉強しなさい。」と言われる。自分がやりたいときにするから、ほうっておいてほしい。

兄が、テレビのチャンネルを勝手に変える。言ってから変えてほしい。

親が、もう済ましたことを知らずに、しろと命令してくる。確認してから言ってほしい。

弟が感情的になり余裕がなくなると、人の話や意見を全く聞かずに屍理屈で逃げていく。話を最後まで聞き、理屈で話してほしい。静かにしてほしい。

学校でいろんな人が、僕の物を勝手にさわったりとったりする。

家で、母が、僕がなにをしているか見てくる。父母がテストの点数が悪いと言う。来ないでほしい。黙ってほしい。

いつも母が、僕を見ている。しゃべる。ぶりっこ。だまってどっか行ってほしい。

言うことを聞かなかったとき、父が「チョコ(犬)を捨てるで。」と言う。犬だからって、捨てるとか簡単に言わないでほしい。

5.振り返り

初めて子どもの権利条約を知り、ひどい扱いをされている子どもがたくさんいることがわかった。

思いもかけないことが条約違反だということがわかった。

知れてよかった。しっかり考えることができた。

子どもの権利条約があることを初めて知りました。自分に当てはまるものがいっぱいあったので、親におこられたときは、子どもの権利条約を使います。

みんながいやだと感じることが私と一緒だということがわかった。

日本ではちゃんと条約が生かされていない気がするので、実行してほしいと思った。

条約のことばを知ったし、いやなことなどを考えられてよかった。

私たちはたくさんの権利で守られているんだなと思いました。

親は、よく子どもの権利条約に反している。

子どもの権利条約があることを初めて知って、びっくりしました。

ほとんどの家で条約に違反していることがわかった。

子どもの権利条約がすごかった。

子どもの権利条約があってよかったと思った。

子どもは大切に扱われるものだとわかった。

子どもの権利条約というものはいいなあと思った。お母さんに言ってみようと思う。

子どもの権利条約は子どもを危険から守るものだとわかり、大事なものだと思った。

とても楽しく学べたのでよかった。また、すごく興味がわいてきたので、また知りたいです。

子どもはのびのび生きることが大切だなと思いました。意見はしっかり言うことが大事!

CやDの家でふつうにありそうなことが、子どもの権利条約に反していることにとてもびっくりしました。

あまり知られていないんだと思った。これからこういうことについて考えようと思った。

クイズの答えを聞いたときはとてもびっくりしました。

ふだん親に言われていることも、子どもの権利条約にひっかかるんだなと思った。

子どもの権利の大切さや意見をもっと主張してもよいのだということがわかりました。

楽しかったです。

子どもは大切にされるべきだと思った。親に言ってみようと思う。

子どもの権利条約をみんなに知ってほしいなと思いました。