大阪市内で戦争平和を考える大阪市内で戦争平和を考える

身体は 天皇陛下の御為に鍛錬するのです
-大阪市国民学校の體錬手帳-

 

大阪市の国民学校で使用されていた「體錬手帳」(今の字で表すと「体練手帳」)

 大阪市古市国民学校は、今の旭区古市小学校。(初等科は今の小学校、高等科は今の中学校にあたる)

 写真は「昭和16年6月25日発行 定価15銭 発行者 大阪市役所内 大阪體育協會(今の字では「大阪体育協会」)」

 年齢 身長 体重 胸囲 座高 栄養 脊柱 胸郭 視力 聴力 歯牙 疾病及び異常の記録、体力検査の記録などが記入できるようになっている。今の大阪市の小学校で使われている「健康手帳」のようなもの。

 大阪体育協会の会長は当時の坂間棟治市長、事務所は大阪市役所内におかれていた。今の大阪市体育協会や大阪体育協会は戦後組織されたもので関係はない。表紙は緑色の厚紙、全部で32ページ。縦12.5cm、横8.5cmの小さな手帳。

 

表紙をあけると、神話の人物らしい図に「学童体力検査章」とあり、その下に「体錬は 絶えず 正しく 朗らかに」

 はじめに歩くこと、泳ぐことの標準が示されているのはなぜでしょうか。

 

学童歩行距離標準 学童遊泳距離標準

 8才 8km    初等科 100m
 9才 10km    高等科 300m
 10才 12km      (時間泳法自由)
 11才 16km
 12才 20km
 13才 22km
 14才 26km

大阪体育協会 考案

 

 2ページには「健康訓」が書かれていて、その第1番第2番には次のように書かれている。

1、身体は 天皇陛下の御為に鍛錬するのです

2、身体は父母の賜物、健康にしましょう

(図の赤線はHP編集部)

 

 6ページには、満15才以上25才までの標準が書かれている。その中の「投」は、なんと「手榴弾投」である。(図の赤丸はHP編集部)

(6ページ)

厚生省制定体力章検定標準(満15才以上25才まで)

投 手榴弾投

上級 45m 中級 40m 初級 35m 

級外甲 30m 乙 25m 丙 24m99cm以下

 

 今の子ども達の体力テストは「ソフトボール投げ」である。手榴弾投げなんてごめんだ。

↓ 大阪市内では今はスポーツテストとして実施しているが、当時は「体力検査」。種目は、

男 50m走(高等科は100m走) 走り幅跳び 懸垂屈肘 短棒投げ 1000走

女 50m走 重量運搬 3回跳び 短棒投げ 1000走

短棒 重量300g 長さ30cm その場なげ

重量運搬は 距離50m 重量 初等女12kg 高等女15kg

 

↓ 私の「体力歴」という欄には野外教練として枚方でのウサギ狩りも書かれている。(この手帳の提供者は表紙に書かれているように、1941(昭和16)年当時、国民学校初等科6年生。ハイキングは文字通り「遠足」であった。「行軍」として26kmを6時間半で歩いている。大阪神戸間に相当する距離を歩いている。

昭和16年10月16日 ハイキング 六甲山縦走 36km 9時間半
昭和16年12月1日 ハイキング 飯森山 宅より21km 7時間
昭和17年2月18日 行軍 学校より 26km 6時間半

 

下↓の図版は「尋常小學修身書 巻六」(昭和五年 著作兼発行者 文部省)

第十八課 国民の務(其の一)

我等は少年の時から身体をきたへ元気を養ひ、成長の後は徴兵検査に合格して陸海軍に入り、名誉ある護国の義務を果たすことが出来るやうにしませう

 


案内人 柏木 功

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