教育塔
この塔 は、1934(昭和9)年の室戸台風 をきっかけに、学校などで事故や災害 の犠牲 となった児童・生徒・教職者の慰霊 のために、1936(昭和11) 年10月30日にたてられました。
室戸台風 は1934(昭和9年9月21日室戸岬 に上陸 し、淡路島 をかすめ京阪神 をおそいました。大型の台風で、最低気圧 684ヘクトパスカル、風速60メートル。午前8時3分 大阪測候所 の風力計 は60メートルでふっとばされました。大阪市内では8時40分に風はやや弱まりました。
四天王寺 五重塔 、仁王門 、住吉神社 絵馬堂 などはたおれ、電車はま横にころがり、えんとつや電柱は折 られ、家は次々にぺしゃんこになりました。雨量は300ミリ、大阪湾 の高潮 は桟橋 をもぎとり大きい船がたたきつけられました。
死者1639名、負傷 者2万2千余、行方不明 132、こわれた家2万3千余戸、水につかった家10万2千余、被災 人口39万4千余。
なかでも木造 校舎 の多かった学校は、146校がたおれ、登校 していた子ども533名がおしつぶされて、なくなりました。鶴橋 第二小学校は66名、鯰江 第二小学校 ( 今の今福小学校) は24名、住吉 小学校では16名の死者が出ました。 吹田の豊津 小学校では吉岡蔭子 先生(28歳が5名の、横山仁和子 先生 (26歳)が、3名の子どもをかかええたままおしつぶされて なくなりました。が、先生にだかれた子ども達はかすりきずだけで助かりました。味原 小学校の細川大造 先生(39歳)はにげおくれた子どもを助けに行き、最後の一人をにがしたあと校舎の下じきとなってなくなりました。三宝 小学校の粟山優 先生(28歳)は避難 させた子どもの数がたらないとひきかえして波 にのまれるなど いたましい犠牲 を出しています。
また子ども達も西淀川区川北小学校で神崎川 の流れにのまれた下級生を助けた高等科の生徒や、プール女学校では校舎 の下じきになった7人の女生徒が賛美歌 を歌いつづけて助けを待ったなど、たがいに助けかばいあった心あたたまる話もありました。
教育塔 は高さ30m 面積 333平方メートル、外側 は白い花崗岩 でおおわれ、内部は塔心室 と芳名室 に分けられています。完成した1936(昭和11年10月30日に除幕式 と第1回教育祭 が行なわれ、以後毎年の同日に帝国 教育会によって教育祭が行なわれ、合葬者 が加えられました。戦後 、この事業 は日本教職員組合 にひきつがれました。
碑 の台座 には、向かって左側には、大風水害 で子どもを守る教師、右側には校長先生が「訓書 」を清読 する場面がきざまれています。教育勅語 奉読 の姿 が風雨にさらされるのはおそれおおいとして形だけ変えたものです。この場面や教育祭 実施日 ( 10月30日、教育勅語 発布 の日が、ふさわしくないという声もあがっています。 ( 今は、10月末 の日曜日に替 えられました。)
大風水害 で児童 を守る教師
式典 で校長が「訓書 」を「清読 」する光景