大阪市内で戦争平和を考える大阪市内で戦争平和を考える

花・鳥に託して
~父や母の想い~

 秋桜をみるといつも思い出すお話があります。

 一輪のコスモスに思いを託して戦地へ出向く父親の物語です。四年生の教科書にも載っている「一つの花」(作・今西祐行)です。

「戦争になんか行きたくない気持ち。ゆみ子やお母さんのことが心配な気持ち。 だけどプラットホームのはしの方のごみすて場のような所に咲いていたコスモスがお父さんの心と通じ合って、お父さんの心に勇気と戦争に行く気持ちをくれます。これからはこのコスモスがゆみ子とお母さんをまもってくれる。そう思ってゆみ子にあげたのだと思います。それから10年の年月がすぎて、たくさんのコスモスに包まれたゆみ子。お父さんのかわりにコスモスの心のあたたまりがゆみ子を包んでいるような感じがします」(Yさんの感想)

「私は戦争のことを全然知らなかったけど淀川堤防にある千人塚の話を聞いた時、大阪にもたくさんばくだんを落とされたことを知りました。お父さんが戦争に行ってしまうとき、『一つだけ、一つだけ…」と言って泣いているゆみ子にお父さんがくれた一輪のコスモスをゆみ子とお母さんは大事に大事に育てました。10年後平和になってきてゆみ子も友だちをたくさんつくれるようになってよかったなと思いました」(Kさんの感想)

 学習の終わりに、息子を戦地に連れてゆかれたかあさんの悲しみと子どもへの深い愛情を描いた「ただいま、かあさん」(水野寿美子・作梅田俊作・絵ポプラ社)を読みました。山へ登り、谷に向かって『たかしやーい』『きよしやーい』

『ひさしやーい』と力いっぱい叫ぶかあさんの思いはいかほどのものでしょう。きよし、ひさしのふたりを戦争に奪われたかあさんの心の中はいつも悲しみとの戦いでした。たかしがかえってくることへの願いを小鳥に託して救った小鳥を飛び立たせるかあさん。やっとかあさんの願いがかないます。

 夫や息子、父、恋人、教え子を戦場に行かせてはなりません。今、戦争の話が遠い昔のことではないことを、考えなければなりませんね。60回目の12月8日が過ぎました。

ポプラ社
一つの花

一つの花  おはなし名作絵本 (21)

【著作】今西 祐行/作  鈴木 義治/絵
【ISBN】4-591-00548-8
【判型】24.5cm x 21.5cm
【価格】1,050円 (本体: 1,000円)
【発売日】1975年08月

一つの花  ポプラポケット文庫 児童文学・中級

【著作】今西 祐行/作  伊勢 英子/絵
【ISBN】4-591-08877-4
【判型】17.5cm x 11.5cm
【価格】599円 (本体: 570円)
【発売日】2005年10月

ポプラ社
ただいま、かあさん えほんとなかよし (59)  

【著作】水野 寿美子/作 梅田 俊作/絵
【ISBN】4-591-06121-3
【判型】25cm x 24.5cm 44ページ
【価格】 1,260円 (本体: 1,200円)
【発売日】 1999年07月

 潮見 典子  2001年

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