大阪市内で戦争平和を考える大阪市内で戦争平和を考える

ヌチドウタカラ~(いのちこそたから)

 沖縄に行ってきました。一月なのに、そこには、暖かい風、エメラルド色の海、明るく輝く空、色鮮やかな花がありました。そんな美しい風土の中、戦跡をめぐりました。270メートルもあるアブチダガマ(地下壕)の不気味な恐ろしさ、体中に戦慄が走りました。光のない暗闇、酸素の少ない空洞が、住民の逃げ場であったり、病院であったり……。後には、日本兵の避難所になり、自決の場と化し、住民は入ることも許さず入り口で射殺されて…。しかも、日本兵による住民虐殺の事実が。沖縄戦の戦死者は20万人余、そのうち10万人余が住民でした。恐ろしい話をたくさん聞きました。

 沖縄から帰って、あらためて「おきなわ 島のこえ」(丸木俊・丸木位里 え・文(小峰書店)を読みました。美しい島に起こった戦争の惨劇がひしひしと伝わってきます。「ワラピンチャー ヒンギリヨー。ヌチドゥ タカラ」(こどもたちよ にげなさい いのちこそ たから」お母さんのふりしぼる声が聞こえてきます。「イクサユン シマチ・ミルクユンヤガテ イナギクナヨ シンカ、ヌチドウ タカラ」(せんそうは もうじき おわる。へいわで ゆたかな ときがくる。なくなよ みんな いのちこそ たから)さんしんの響きに合わせて歌うおじいさんの声が聞こえてきます。

 戦争は終わりました。

 50年もすぎました。しかし、沖縄には今なお多くの基地が残され、そのために起こる悲劇が続いています。沖縄に本当に戦争を終わらすことを、一日も早く本当の平和が訪れることを願わずにいられません。子ども達に〈ヌチドウタカラ〉「おきなわ島のこえ」届けたいです。

小峰書店

おきなわ 島のこえ
【著作】丸木俊・丸木位里 え・文
【ISBN】 4-338-02203-5
【NDC】 913
【判型】 24×25cm
【ページ数】48ページ
【価格】 1,575円(税込)
【発売日】1984年発行

 潮見 典子  1996

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