基地のない日本に(1)
"バイバイ……"
これがたった3歳のヤス君の最期の言葉でした。
"ポッポッポ!"
たった1年ちょっとのユー君の言葉でした。
17年前、米軍のファントム機の墜落によって2人の幼い命が奪われたのです。お母さんの林和恵さんは、皮膚の8割に大火傷を負いました。奇跡的に助かりますが、何度も皮膚移植の手術を受けなくてはならなかったのです。そのために、夫の一久さんは新聞に皮膚提供を申し出たのです。この記事を見た早乙女勝元さんは、何かできることはないかという思いと、この事件への怒りから、絵本「パパママバイバイ」(草土文化)を門倉訣さん(詩)、鈴木たくまさん(画)と創りました。戦争が終わって33年もたったというのに、墜落現場はまるで戦場のよう。しかも、自衛隊のヘリが助けたのはアメリカ兵。悲しいことです。腹立たしいことです。
基地があるために起こる悲劇は、戦後50年たっても終わっていません。基地のあるところでは、爆音・米兵による犯罪など、今なお苦しめられているのです。沖縄では、今、基地に対する怒りが盛り上がっています。高校生は訴えています。「私たちに静かな沖縄を返してください。軍隊のない、悲劇のない、平和な島を返してください」と。
鳩よ小さい足を
手のひらを
むねを
いのちを
はばたいて
白い
ほうたいを風になびかせ
まっ白い羽にして
〈パパ、ママ、バイバイ…〉
(本文中の詩より)
※発刊当時は本文のとおり「草土文化」社でしたが、今は「日本図書センター」社から発行されています。
●日本図書センター
「子ども平和図書館」のシリーズ
パパママバイバイ
早乙女勝元/著 門倉訣/詩 鈴木たくま/絵
ISBN4-8205-6611-3
A4変版56頁
2001年02月
定価 1,890円(本体1,800円)
●アニメ パパママバイバイ 75分 1984年
◆潮見 典子 1995.10.