大阪市内で戦争平和を考える大阪市内で戦争平和を考える

戦後50年に残したいもの

 あの地震の直後、神戸市長田区は火災に見舞われました。なすすべもなく、歯がゆい思いで、何とかならないのかと怒りさえこみ上げてくる思いでテレビに見入っていました。「空襲を思い出した」「焼けの原は、まるで戦後のようだ」という声を聞きました。崩壊した家の下敷きになった苦しみ、火事の中を避難する恐ろしさ、目の前で死んでいく人を助けられなかった辛さを、五十数年前に日本は経験しているのです。地震と戦争とではもちろん原因も状況も違いますが、あの震災の悲惨な状況は戦中戦後の状況と重ねて思うほどひどいものだったのです。

戦争を知らない子どもたち、戦争を知らない親たちの世代になりましたが、あの戦争の悲惨さを今こそ伝えなくてはと燃える神戸の町を見ながら思い出しました。まず、心に浮かんだのが「猫(ねこ)は生きている」作・早乙女勝元、絵・田島征三(理論社)です。東京大空襲の炎の夜のすさまじさ、焼夷弾が突きささった光代。せめてチイ子だけはと覆いかぶさって死んだお母さん。そのチイ子も……。必死で逃げまどう昌男と猫、もの言わぬ死体、あまりの酷さに胸が詰まります。でも目をそらしてはいけない。真実をありのままに伝えなくては。

 早乙女さんと田島さんの叫びが聞こえてきます。

戦争は決してハッピーエンドにはなりません。猫たちが生きていたのが救いでしょうか。そういえば震災の瓦礫の中から生還した猫がいましたね。

戦争をテーマにした文学作品はたくさんあります。国語の教科書にも取り上げられています。戦争の悲惨さの伝え方は作者・作品によって様々です。今後、何冊かを紹介していきたいと思います。

 国会では日本の戦争責任をあいまいにした戦後50年決議がされました。私たち大人は、子どもたちに正しく過去の戦争を伝え、子どもとともに平和への思いを熱くしていこうではありませんか。

理論社
猫は生きている
早乙女勝元/作 田島征三/絵
ISBNコード4-652-02005-8
[B5 判]26×21 86頁
1,3655円

株式会社シネマ・ワーク
猫は生きている(人形劇映画)

 潮見 典子  1995.7.

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